受精卵の成長~受精から胚盤胞まで~、胚の評価の見かた

不妊治療

今回は、自分の勉強とおさらいを兼ねて、受精卵が胚盤胞まで成長する過程をまとめてみました。

この記事にのせてある写真は、浅田レディースクリニックブログからお借りしました。

ざっくり受精卵から胚盤胞までの流れ

体外受精や顕微受精によって作られた受精卵は、1日~7日間、培養機器の中で培養されます。

培養1日目(受精の次の日)、3日目、5日目、6日目、7日目に観察を行い、受精卵の成長に合わせて評価をしているそうです。

浅田レディースクリニックでは、アプリにて、自分の移植胚のタイムラプス動画を見ることができます。受精卵がどんどん分割されてポコポコ細胞が増えていく様子は、なんだかとってもかわいらしいです。

受精卵について

受精操作を行った次の日に、正常に受精しているかどうかを確認します。

受精卵は、前核の数によって、正常受精卵、異常受精卵、未受精卵、その他受精卵、変性卵に分類されます。

正常受精卵=精子からの前核と、卵子からの前核の両方を持った、前核が2つのもの。⇒培養を続けた後、凍結

異常受精卵=前核が3つ or 受精前に分割している状態。⇒凍結なし

未受精卵=前核がない状態。⇒凍結なし

その他受精卵正常受精卵の可能性があるため培養を延長。⇒胚盤胞になったら凍結

→その他受精卵が、正常受精卵である理由としては、2つの前核が1つに融合している状態なのか、もともと2つあったけど1つ消えちゃった状態か判断できないため。注意)前核自体は、受精後22時間後には1つに融合し、消えてなくなります。

私も、「その他受精卵」が胚盤胞まで育った経験があり、実際に移植しています。

初期胚・分割期胚・前核期胚

受精卵は、成長にともなって、細胞分裂を繰り返します。(1細胞→2細胞→4細胞→8細胞・・・)

だいたい、培養2日目で4細胞に、培養3日目で8細胞になります。

これらの胚を分割期胚と呼び、浅田レディースクリニックでは、培養3日目の細胞を初期胚移植に使用しています。

初期胚移植するとき、移植する胚の評価が記載されていますよね。例)9A、8A、7Aなど

これらはどう見たらいいのでしょうか。

<評価の見かた>
分割期胚は3つのポイントで評価を行います。
①    細胞数 =通常、6~9細胞に成長
②    細胞同士大きさ=均一なほど良好
③    フラグメントの量=少ないほど良好
(フラグメント=受精卵が細胞分裂をする際に発生する細胞断片のこと)

例えば、8Aと評価された胚は、下の図のように評価されています。

今までの初期胚移植された胚の評価を、振り返ってみました。

9A(妊娠→流産)、9Aと8Aの2つ移植(妊娠→流産)、5A、4A、2Aという結果でした。

5Aや4A、さらに2Aは、さすがに細胞の成長スピードが遅い卵なのでは・・・と疑いたくなりますが、必ずしも評価の高い胚が妊娠するとはかぎりません、と言われています。

見た目の評価は絶対ではなく、それによって妊娠率・流産率に与える影響は、まだはっきり分かっていません。

私の場合、評価が高くても低くても、染色体異常があるので、見た目の評価はあまり当てにならないのかな~と思っています。染色体異常は、細胞の見た目では分からないので。

胚盤胞

培養5日目には、細胞分裂もすすみ、桑実胚を経て、胚盤胞になります。

胚盤胞は、下の図のように、成長過程にあわせて6種類ぐらいあります。

難しいことは置いといて、完全胚盤胞や拡張期胚盤胞になると、

赤ちゃんのもとになる細胞:ICMと、胎盤のもとになる細胞:TEができてきます。

さらに胚盤胞の発育が進むと、薄くなった透明帯が破れて、胚盤胞が外に出ちゃいます。⇒孵化(うか:hatching)

さて、胚盤胞も、初期胚と同じように、見た目の評価が行われます。

例えば、4ABを例にすると、

数字で表されるところは、胚盤胞の成長のステージを表します。

<胚盤胞のステージの評価>

1.初期胚盤胞
2.胚盤胞
3.完全胚盤胞
4.拡張胚盤胞 ⇒ 例の4ABの‟4”は拡張期胚盤胞のことを表しています。
5.孵化中胚盤胞
6.孵化後胚盤胞

そして、ICMとTEの評価は、3段階で評価されます。

<ICM・TEの評価>

  • A:細胞数が多い ⇒細胞数が多いほど良好
  • B:細胞数がやや少ない
  • C:細胞数がかなり少ない


今までの胚盤胞移植に使用された、胚の評価をふりかえってみました。

4AB、4BC、4BC、5BBでした。

このうち、5BBの胚は、PGT-A解析後に正常胚と結果が出たものです。孵化している細胞だったんですね。

PGT-Aには4つの胚を出しましたが、正常胚以外の残り3つは不均衡型転座の構造異常を持つ胚でした。その遺伝子異常を持つ胚のグレードは教えてもらってません。

私の胚盤胞移植してきた経験を見る限り、見た目の評価だけでは、妊娠するかしないかは、ほんとに分からないんだなと思います。

染色体の構造異常を持つ受精卵や、突然変異である染色体の数の異常を持つ受精卵は、見た目の評価ではまったく分からないので。

これからは、グレードをあまり気にせず、ひとつひとつの胚を大事にお迎えしようと思います。

胚移植の予定の方や、経験のある方の参考になればうれしいです。

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