みなさんは子宮内膜検査を知っていますか?
移植をくりかえしても着床しないという方や、流産を繰り返している人は、この検査について考えたことがあるかもしれません。
今回は、この検査が本当にやる意味があるのかどうか、浅田レディースクリニックの浅田先生の意見をご紹介します。
以前、「私が子宮内膜検査をやらなかった理由」という記事をアップしています。
子宮内膜検査についても詳しくのせてあるので、こちらを参考にしてください。
ざっくり、子宮内膜検査とは
ざっくりいうと、子宮内膜検査とは3種類あります。
・ERA(子宮内膜着床能検査):着床の時期がずれてないかの検査
・EMMA(子宮内マイクロバイオーム検査):子宮内膜にいる細菌群の検査
・ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査):子宮内膜に、悪い細菌がいるかどうかの検査
着床不全や初期の流産を経験している患者さんは、これらの検査を受けた方がいいのか考えたり、もう実際にやったという人もいると思います。
私は、着床前診断後の正常胚を移植する前に、ERA/EMMA/ALICEのトリオ検査をやろうか悩みました。
ですが、夫の意見や、浅田レディースクリニックではおすすめはしていないという言葉を聞き、検査を見送りました。
今回は、浅田先生が医師として、この子宮内膜検査の意味についてつづったブログをご紹介します。
ERA検査は、信頼性が?な検査
https://ameblo.jp/ivf-asada/entry-12510195709.html?frm=theme 浅田レディースクリニックブログより
ERAという子宮内膜の着床時期に関する検査があります。
この検査に関する研究は、2014年のASRM(アメリカ生殖医学会)でスペインのグループが発表したものです。
優秀演題として受賞しましたが、その後、それを支持する論文は発表されていないという現状です。
昨年、そのグループに所属するドクターを含むスペイン人ドクターが当院に見学に訪れたので、ERA検査の実施について尋ねてみましたが、彼らの回答は「実施していない」というものでした。
つまり、
・この検査の発表されているデータは、論文一つだけの結果、だということです。
・このERA・EMMA・ALICE検査を確立させたグループの医師でさえも、この検査はその後実施していないということです。
開発した医師が、今はやっていないって、どういうこと?
患者にとって有益な検査じゃないってこと?
自分でも他の論文を探したんですが、見つけることはできませんでした。
また、院長はこんなこともつぶやいています。
https://ameblo.jp/ivf-asada/entry-12510195709.html?frm=theme 浅田レディースクリニックブログより
ただ、ERA検査は、それ自体がある種ビジネスの要素も含みながら世界で広まっており、日本も例外ではありません。
私は、発表後の研究をみてもエビデンスレベルがそれほど高くないと感じていたため、高額な費用を払って検査する価値はあまりないと考えていました。
しかし、とりわけ東京ではERA検査の知名度が上がっているのか、品川クリニックの患者さまからERA検査を希望する声があがるようになり、高額ではありますが希望される患者さまについては実施することにいたしました。
つまり、
・スペインの遺伝子検査の会社、一社のみが検査できるという独占的な検査⇒高額になる
・高額なお金を払ってまでする信頼性がない
ということです。
ん~検査する意味がそこまでないとおっしゃっているけど、希望者が多くて実施せざるを得ないという状況なんでしょうか。
ALICEも、エビデンス?な検査
https://ameblo.jp/ivf-asada/entry-12510195709.html?frm=theme 浅田レディースクリニックブログより
慢性子宮内膜炎の検査についても同様で、エビデンスレベルは十分ではありません。
そのため、着床しないことを、慢性子宮内膜炎という新しい概念ですべて説明することはとうてい無理な話です。
私は、子宮内膜の条件が悪いために妊娠できない患者さまは、ほんの一握りだと思っています。
子宮内膜が無くても、卵が元気であれば子宮外妊娠が成立します。
また、他人の子宮に卵を移植する代理出産のデータをみても、妊娠を決めるのは子宮の年齢ではなく卵子の年齢(卵子の老化具合)であることが示されています。
ただ、この検査についても、患者さまのご希望に応えるかたちで実施をすることにいたしました。
着床しないことは、慢性子宮内膜炎だけが原因じゃないということですね。
そして、エビデンスも十分ではないと。
でも、実際、この検査で陽性と出る方が多いようです。
治療としては、抗生剤を飲んで内膜炎を起こしている菌をやっつけるのが一般的です。
ですが、慢性子宮内膜炎がどのように着床不全につながるのか、というメカニズムはまだ解明されていません。
それに、子宮内膜炎というのは、感染だけでなく、出産や流産、子宮内膜症などとも関連があります。
私は、流産も、子宮内膜症も経験しているので、検査したら絶対、”慢性子宮内膜炎です”という結果が出そうな気がする。
でも、私の場合は、自分の均衡型転座が原因で流産していると結論づけたので、納得して検査はやってません。
参考:HARUKI LADIES CLINICの慢性子宮内膜炎の記事
不妊治療の専門家の意見を目にして
今回は、自分が通っているクリニックの意見を書きましたが、こんな意見の先生は少ないと思います。
子宮内膜検査をやった方がいいという医師の方が、たくさんいらっしゃると思います。
今回、「子宮内膜検査」というワードでネット検索したところ、ほんとにたくさんのクリニックや病院で、この検査を紹介・実施していました。
そして費用は、施設によってバラバラです。
子宮内膜検査について、わたしの思い
私は、この検査に反対なわけでもなく、おススメするわけでもありません。
患者さんによって、やった方がいい場合と、やらなくていい場合とがあるからです。
でもこの検査をやっても、それが着床不全や繰り返す流産の原因だとは言い切れないということです。
ただ、クリニック側には、着床不全などでとても困っている方に、やみくもにこの検査をおススメしてほしくないだけです。
妊娠しない原因は何なのか、検査してもしても分からず、わらにもすがる気持ちで、この高い検査をやってしまう人もいると思います。
もう高度不妊治療を長年やってる方なら、課金沼にハマっているとは思いますが・・・。
この検査の信頼性やエビデンス、もし悪い結果だった場合の治療法やスケジュールについて、料金について、しっかり説明して、理解された方におすすめしてほしいです。
不妊治療をやっている患者さんあるあるだと思いますが、
治療に関する情報って、クリニックや病院から教えてもらうものより、自分でツイッターやブログ・ネット上などで調べて得る量の方が多い気がします。
でもそのツイッター情報やブログ情報って、やっぱり個人差があるし、その人に合った治療や検査であって、他の人に当てはまるものではありません。
なので、診察時にも主体的に自分から質問したり、意見したりすることが大事かなと思います。
自分で責任を持って判断して、後悔のないように治療ができたら、それが一番です。
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