橋本病と不妊の関係についてまとめてみました

不妊治療

はじめに

みなさんは、橋本病ってご存じでしょうか?

甲状腺という臓器の病気です。

不妊治療をやられている方は、一度は目にしたことがあるんじゃないかな。

初診時の検査で甲状腺ホルモンを測っていると思います。

この病気は、妊娠・流産に大きく影響する病気なんです。

今回は、橋本病と不妊の関係についてまとめてみました。

甲状腺って?甲状腺ホルモンって何?

私は、橋本病という病気を持っています。

この病気は、甲状腺という、首の左右にある、リボンのような形をした小さな臓器に、異常が起こる病気です。

甲状腺は、甲状腺ホルモンを作っているところです。

甲状腺ホルモンは、簡単に言うと、「からだ全体のエネルギー活動を刺激し、促進するホルモン」です。つまり元気のみなもとになるホルモンです。

このホルモンが低下したり増加しすぎたりすると、体の不調が起こります。

甲状腺ホルモンは3種類(FT3、FT4、TSH)あり、これらのバランスを調整することで体を元気な状態に保っています。とくにFT4とTSHのバランスが大事です。

そしてこのホルモンは、胎児や子どもの発育に関係するだけでなく、妊娠や着床にも影響します。

このホルモンのバランスが崩れていると、卵巣機能がうまく機能せず卵胞が育ちにくくなったり、また、甲状腺機能が低下していると、妊娠率や着床率が低下し、流産しやすくなると言われています。

妊娠を考えるときになったら、甲状腺の検査をしっかり行うことをおすすめします。

橋本病って?

橋本病とは、甲状腺に慢性の炎症が起こり、甲状腺ホルモンを作る働きが低下して、甲状腺機能低下症を起こす病気です。

自分の体の免疫機能が、異常を起こして自分の甲状腺を攻撃して、その結果炎症を起こしてしまうんです。
自己免疫疾患といいます。

橋本病とは反対に、甲状腺機能が上がりすぎてしまう病気がバセドウ病です。

この甲状腺の病気は、女性に多く、男女比は約1:20くらい。
20代後半から40代で起こりやすく、9人に1人が甲状腺の病気にかかっていると言われています。

橋本病の症状って?

甲状腺ホルモンが少なくなると出現する症状
五十嵐内分泌クリニックさんよりhttp://www.igarashi-cl.jp/features/index.html

橋本病は、こんな症状が出ると言われています。

私の場合も、

「やる気がでない」「朝起きれない」「寒がり」「すぐ疲れる」「むくみやすい」「髪がぬける」などなどありました。

運動不足のせいかな、最近疲れがたまってるからかな、冷え症だもんねと思いこんでいたため、橋本病だと分かるまで時間がかかりました。
(タイミング法をやっていたクリニックでは、甲状腺ホルモンの検査はやっていなかったので)

最近では、うつ病かもと思ってメンタルクリニックを受診された患者さんが、詳しい検査をしたら橋本病だったというケースも多いです。

50代を超えて、更年期かもと思って放っておくと、橋本病の症状が進んでいたというケースも珍しくありません。

橋本病(甲状腺機能低下症)と不妊の関係

性ホルモンと橋本病の関係

甲状腺異常がおこると全身のホルモンバランスが崩れ、性ホルモンの分泌にも異常が出ます。その結果、不妊症や流産がおこるといわれています。

卵胞の成長にも影響する
⇒甲状腺機能が低下すると卵胞の発育が悪なります。
⇒採卵できなかったり、無排卵月経がおこることも。

卵巣機能が抑制され、不妊症や流産を起こす
⇒甲状腺ホルモンの分泌が少なくなると、脳からの刺激ホルモンが大量に放出され、分泌を促します。
⇒同時にプロラクチン分泌も促進される。(プロラクチン:乳汁産生↑、卵巣機能↓)
⇒高プロラクチン血症をおこす。
⇒卵巣機能を抑制し、排卵抑制や、無月経、着床阻害を起こす。
不妊症や習慣性流産を引き起こす

つまり、甲状腺ホルモンバランスに異常が起こると、卵胞が育ちにくくなって、排卵しにくくなり、着床しにくくなって、流産や不妊症を起こしやすいということです。

甲状腺ホルモンがこんなにも不妊症と関係してるだなんて、あらためてビックリです。

体外受精と橋本病の関係

体外受精では、採卵前に卵巣刺激として、アンタゴニスト法やクロミッド投与、HMG注射など、さまざまな方法で卵胞の発育を促しています。

この卵巣刺激によって、急激な甲状腺機能低下(TSH上昇・FT4低下)が起こることが分かっています。
これは、急激に卵胞が育った結果、エストロゲン(卵胞ホルモン)が急上昇し、その影響でFT4が急激に低下するからです。

もともと甲状腺が正常な方も、甲状腺ホルモンのバランスが崩れることはあります。
ですが、橋本病や潜在性甲状腺機能低下症の方が体外受精を行った場合、甲状腺機能低下の程度が、はるかに大きくなることが予想されます

まとめ

つまり、自分なりにまとめると、こういうことかな。

*甲状腺機能が正常の方でも、甲状腺ホルモンのバランスが崩れることがあり、未治療のままだと流産する確率は高くなる。

*甲状腺機能が低下していて未治療の方は、着床障害や卵胞成長の遅れ、流産・不妊症をおこしやすくなる。体外受精を行うと、さらに甲状腺機能低下が進むことがある。

でもお薬をちゃんと飲んで、適正な値にコントロールできれば、正常の方と同じように妊娠できるといわれています。妊娠希望の方は、TSH<2.5の基準をクリアできれば大丈夫です。

甲状腺って、あんなに小さいのに、女性にとってほんとに大事な臓器ですね。

妊娠を考える時が来たら早めの検査を、その時期じゃなくても症状が気になる方は、一度検査を受けてみてください。

次回は、わたしの橋本病の体験記をまとめる予定です。

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