不妊治療は、妻への負担大
不妊治療は、おもに妻が治療を受け、夫の出番はごくわずかです。人工受精や体外受精では、採精をがんばってもらうのみで大丈夫です。たまーに採血もありますが。
なので、夫側に何か異常がないのなら、不妊治療の通院や治療などの肉体的・精神的負担は、妻ばっかりに集中します。
身体への負担としては、多いときは週3回にもなる通院や、長い待ち時間、注射や採血、各種手術などがあり、これらもがんばりつつ、家事も仕事も平常運転でこなさなければなりません。そして、心への負担としては、移植後陰性と分かったときの落胆、ホルモン投与による気分のムラやイライラ、周りからの心ない言葉に落ち込んだり、夫とケンカしたりと、もうほんとに大変です。
でも、子どもが欲しくて、不妊治療やってるんでしょと言われたらそれまでなんですけどね。
そこで、今回は、不妊治療をしっかり理解して、がんばっている妻をいたわってくれて、悩みや落ち込みにも寄り添ってくれて、家事もサポートしてくれるような夫へ変身させるにはどうすればいいか、私なりに考えてやってきたことをまとめてみました。(今でもこんな完璧な夫ではありませんが・・・)
不妊治療について、たくさん話す
不妊治療について話すと、いい顔をされなかったり、任せるよと言われたり、あまり興味がないだんなさんも、中にはいると思います。
うちも、最初の頃はそうでした。タイミング法や人工受精をしているときは、あまりいい顔をしなかったし、自然にまかせたらという考えで、不妊治療を続けることに対してよくケンカしてました。
ケンカをしながらも、クリニックのパンフレットを見せたり、私の子宮内膜症のことを何度も話したりして、今不妊治療をやった方がいいと、私の熱意をがんばって伝えてました。
でも子どもが欲しいという熱意だけでは、あまり効果はありませんでした。私の夫は、結婚当初から、「無理して子どもを作らなくてもいい」「夫婦ふたりでも十分幸せ」というタイプでした。
でも、別のクリニックで受けたAMHの検査で、だいぶ低い数値が出たときは、やばいと思ってくれたようで、今不妊治療をして望みをかけるか、もう子どものいない人生を歩むか、考えたそうです。
そこから、少しずつ、ほんとに少しずつですが、不妊治療に協力的になってくれ、私の話にも耳を傾けてくれるようになりました。
転院を考えているときは、色んなクリニックを調べてくれ、説明会にも参加してくれるまでになりました。
ご主人の仕事の忙しさや、不妊治療への理解度、夫婦の価値観など、様々だと思います。たとえ今は協力的でなくっても、少し心に余裕ができたり、何かがきっかけで寄り添ってくれるときも来ると思います。
私たちの場合は、私の低AMHが分かってから、夫にも、私のやばさが理解できたのかな。治療に前向きになってくれるようになりました。
不妊治療に抵抗のある方には、分かりやすく、なんでも伝えるのがいいと思います。相談する感じで話す方が、親身に聞いてくれる気がします。
治療の結果を見て、今後どうするか一緒に考える
治療に理解をしてくれるようになったら、今度は、治療の内容やスケジュール、結果などを伝えて、今後はどうしていくか一緒に考えていました。
うちの場合は、人工受精で結果が出ず、次どうしようかとなった時、夫の海外転勤があったので、とても困りました。私だけ日本に残って治療を続けるか、海外に一緒に行って治療はいったんストップするか、それとも一時帰国して治療するかなどなど。
1人で決断できなかったので、何度も相談して、治療はいったんストップして海外についていくことになりました。この2年が大きかったとは思いますが、後悔はしていません。
帰国する前に、次、体外受精へステップアップするクリニック選びの時も、けっこう話し合いました。治療成績や治療方針はもちろんだけど、料金のことも家計に大きく影響してくるしね。こんなにかかるんだよっていうのを、ざっくり知っておいてもらえると、不妊治療の課金沼にハマる前に助け出してくれるかもしれないし。
体外・顕微受精の結果や、3度の妊娠と流産を経験したとき、染色体の構造異常が判明したとき、PGT-Aをやるって決めたときも、これからどうすればいいか、適切な治療は何か、やる必要のある検査とない検査について、たくさんたくさん話してきました。
ひとりで決断したり進めていくには、荷が重いこともたくさんあると思います。誰かに後押ししてもらいたかったり、支えてもらいたかったりするときに、SNSやネットでの情報じゃなく、自分の夫に寄り添ってもらえたらとても心強いですよね。
そのためにも、自分ひとりで治療をがんばるのではなくて、夫婦いっしょに考えて進んでいくというのが、本来ある形なんですよね。
日々の忙しい毎日で忘れがちだけど、子どもは夫婦2人でつくるものだから。
自分の気持ちを、その都度、夫に伝える
不妊治療を続けていると、出口の見えないトンネルをさまよってるみたいな感覚になる時があります。結果の出ない日々、妊娠しても流産になったり、さらに、染色体異常まで判明して。(私の場合)
そんなとき、芸能人のおめでたニュースや、友人の妊娠・出産報告を見ると、一瞬で元気がなくなって落ち込みます。時間がたつと、落ち着いておめでとうの返信ができるようになります。
女性は、毎月来る生理のせいで、ホルモンに支配されて、どうしても気分に波があります。さらに、治療中は、ホルモン投与のせいで、体調が優れなかったり、気分にムラがあってころころ感情が変わります。
世の女性の中には、こんな気分の波にもうまく折り合いをつけて、だんなさまにも当たらず、仲よくやっている夫婦もいると思います。が、私はほんとにダメで、ホルモンにやられっぱなしです。
そこで、私は、夫に対して、今はこういう感情なんだよと、その都度伝えていくようにしました。伝える前と後では、言い合いをする数が全然ちがいます。
今は生理前で怒りっぽいんだよとか、生理痛がひどくて家事できないくらいしんどいとか、今高温期だから体がだるくてごはん作りたくないとか、移植後の結果待ちの期間だから今はすごくナーバスなんだとか、今日は判定陰性だったから落ちこんでるとか、たくさん報告しました。
やっぱり男性は、女性の気持ちを察することができないので、逐一伝えていかないと、いつまでたっても分かってもらえません。ケンカをしないためにも、私の気持ちや状況を知ってもらうためにも、伝えるのを続けていました。
それを繰り返していると、「そろそろ生理前なの?了解。気をつける」とか「生理しんどいなら、今日はマックでいいよ~」とか、「落ちこんでるからケーキ買ってこようか」とか言ってくれるようになりました(泣)
夫と不妊治療の道を歩んで
最初は、人工受精にも抵抗があった夫。人工っていう字がいけませんよね。夫もそんな文字に難色を示し、人工的に子どもを作るなんて、と理解を示してくれない期間がありました。
そこから、少しずつ相談するように話して、一緒に考えようというスタンスで、治療をすすめてきました。
一緒に説明会に参加したり、診察を一緒に聞いたり、カウンセリングを受けたりすることを通して、自分も参加している意識を持ってくれて、不妊治療の内容に対する理解も深まり、治療を前向きに考えてくれるようになったと思います。
私の気持ちにも寄り添ってくれるようになりました。流産の時の長い低迷期も見守ってくれ、不妊治療のつらさも一緒に感じてくれています。改めて感謝です。
私たちは、今後また妊娠すればその後を、妊娠できなければ治療のやめ時を考える日が来ると思います。そのときも、夫婦ふたりでたくさん話し合い、最善の道を探っていこうと思います。
不妊治療をがんばっている妻から、夫へ
私の通っている浅田レディースクリニックでは、男性が受診に付き添っているケースはまれです。土曜日や祝日などはチラホラ見ますが、平日なんかはほとんど男性を見ません。
忙しいのももちろんあると思うし、ちょうど働き盛りな時期だというのも分かるけど、男性側ももう少し夫婦の問題として一緒に考えてくれればなと思ったりします。採卵手術や流産手術のとき、付き添ってくれたらどんなに心強いか。
奥さんの言い方や態度によって、男性側の気持ちも影響すると思いますが、子どもが欲しい女性は色々悩んでいるんです。周りの出産ラッシュや、子どもまだ作らないのなどの心無い言葉、親からのプレッシャー、仕事のキャリアと不妊治療のバランスなどなどなど。
作らないんじゃなくて、欲しいけどできないんです。だから不妊治療がんばっているんです。
こんな、つらくても戦ってる奥さんを理解して、寄り添って支えてくれるだんなさんが、一人でも増えますように。
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