不妊治療と仕事は両立できる?わたしがフル勤務をやめた理由

不妊治療
仕事のやりがい、日本が世界最下位に…リンクトイン調査

不妊治療をしながら、仕事も両立するのって、とても大変ですよね。

わたしも以前は、正職員の医療従事者として働いていましたが、夜勤や土日勤務もあり、なかなか両立できず、退職した過去があります。

今回は、仕事と不妊治療は両立できるのか、考えてみました。

不妊治療のステップによって、通院頻度は大きく変わる

ちょっと見にくいですが、下のグラフは、
一般不妊治療(タイミング法と人工受精)と、生殖補助医療(体外受精や顕微受精など)における、1周期あたりの通院日数が書かれています。

厚生労働省「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」より

〇一般不妊治療:1回1~2時間ほどの診察で、2~6日の通院
〇生殖補助医療:1回1~3時間ほどの診察が4~10日 + 半日~1日かかる診察が1~2日

となっています。

これはあくまで一例です。

わたしの採卵刺激のスケジュール(顕微受精、クロミフェン採卵刺激)だと、
・月経3、8、12、17、21日目の5回診察(約3時間+往復2時間)と、
・麻酔下による採卵(1日)の
計6回、1周期に通院しています。

わたしの融解胚移植スケジュールだと、
・月経2、9、移植日、判定日の4回診察(約3時間+往復2時間)
計4回、1周期に通院しています。

やっぱり採卵の方が、通院回数も多いし、注射もあり体に負担がかかりますよね。

さらに採卵周期では、ホルモン剤や注射を投与して、反応を見ながら採卵する時期を見極めるため、
「明日かあさってまた来てください」「明日採卵です。」となることもあります。

それが1回くらいなら、なんとか調整できますが、治療回数を重ねていくにつれ、
急に会社を休まないといけない回数が増えると、責任を感じてなかなか休みを言いづらくなります。

職場や上司の理解があっても、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのに、
理解がない環境だと、なかなか治療を続けることができなくなります。

女性の働き方は、若いころに下積みをし、ある程度経験値が上がったらキャリアアップしていく場合が多いと思います。

ですが、ちょうど、このキャリアアップする時期と、結婚・妊娠・出産の適齢期がかぶってしまうんです。

やりがいのある仕事を優先すると、妊娠適齢期は過ぎていってしまいます。

女性が社会でバリバリ働くっていうのは、ほんとに難しいです。

家族や周りの人、職場、上司、部下、いろんな方のサポートがあって初めて、仕事も子どもも持てるようになると思います。

仕事と不妊治療の両立は、困難だと感じる人は、95.6%!実際に退職した人は、約20%も。

仕事をしながら、不妊治療の経験がある女性5526人へのアンケートよると、

<仕事をしながら不妊治療経験のある、5526人の女性によるアンケート>

両立は困難・・・95.6%

*NPO法人Fine 「2017 仕事と不妊治療の両立に関するアンケート Part 2」より

「仕事と不妊治療の両立が困難」と感じる方は、96%にも及ぶことが分かりました。

両立が困難な理由としては、下のグラフのような理由があげられました。

急に仕事を休む必要がある、スケジュールを立てれない、周りに迷惑をかけてしまうなど、
やはり、不妊治療特有の悩みが上位にきています。

わたしも、これらの理由のほとんどにあてはまります。

次は、両立が難しくて、働き方を変えた方の割合についてです。

<仕事をしながら不妊治療経験のある、5526人の女性によるアンケート>

働き方を変えざるを得なかった・・・40.8%(2232人)

⇒そのうち、退職を選んだ人は50%!(1119人)

*NPO法人Fine 「2017 仕事と不妊治療の両立に関するアンケート Part 2」より

アンケートに答えた5526人のうち、5人に1人は実際に退職されています。

退職まではいかなくても、休職したり、異動したり、仕事を変えたりしている方もたくさんいます。

不妊治療と仕事を両立するのって、ほんとに難しくて過酷だということが分かりますね。

悲しい現実です。

不妊治療に関するサポートは?

子どもが欲しい女性にとって、こんなにも厳しい世の中ですが、

会社や勤務先でのサポート面はあるのでしょうか。

・フレックスタイム制度:自分で始業時間と終業時間を決められる制度

・不妊治療のための休暇・休職制度

・不妊治療に対する補助金制度

他には、不妊治療に関する啓発活動や、再雇用制度などありましたが、多くの企業ではこの3つが多かったです。

でも、これらのサポートを実施する会社や事業者は、ごく一部だと思います。

業種によっては、これらの支援策すらない所もたくさんあると思います。

そして、これらのサポート制度は、不妊治療を職場にカミングアウトして初めて受けられます。

不妊治療を受けている方でも、職場に言うことを迷ったり、ためらったり、言わない方もたくさんいます。

職場での理解がなさそうだったり、言ったことによるパワハラやマタハラ、仕事への影響など、不安な面が多いからです。

新しい政権になり、不妊治療の保険適用も話題になってますが、仕事と両立できる環境づくりや制度づくりにも、期待したいところです。

わたしの場合~病院勤務をやめた理由~

研究・科学実験のイラスト(女性)

わたしは、タイミング法・人工受精をやっているとき、夜勤も土日勤務もたくさんある病院でフル勤務で働いていました。

体外受精にステップアップしようと考えたとき、職場の上司(女性)に相談しました。

彼女は子どもがおらず、仕事一筋でがんばってきた方でした。

そのため、急遽お休みを取ることや、それが度重なることへの理解が得られませんでした。

そして職場に年配の男性が多かったこともあり、カミングアウトもできませんでした。

職場のスタッフの人数がギリギリだったため、わたしが急に休むと大勢の人に迷惑がかかり、ほんとうに心が痛みました。

そんなこんなで、1年で2回しか体外受精ができませんでした。

無麻酔だったからなのか、ストレスがかかっていたからなのか、採卵でとれる卵も今よりずっとずっと少なかったです。

色んなことに限界が来て、ほんとうにやりがいのある大好きな仕事でしたが、子どもを望める年齢について考えて、退職を決めました。

今でも仕事に対する心残りはあります。

あのままキャリアアップしていたら、と思い描くことはあります。

ですが、その当時のわたしには両立ができなかったんです。

とてもつらかった。

思うように治療できなくて、結果も出なくて、追いつめられていました。

今はパート勤務ですが、小さな内科クリニックでまた働いています。

今はこれでいいのかなと思いながら、焦らず不妊治療に重きをおいています。

これから不妊治療に望む、若い女性の将来を奪うことがないように、

日本の政治家、県市町村、企業のみなさん、どうかお願いします。

女性が働きやすい、ほんとうの環境づくり、仕組みづくりを。

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